3月に発症した病は半年以上の治療を経てもなお、彼の身体を痛めつけている。
「移植適合のドナーが見つかった。」吉報が入ったのは2ヶ月前。「良かったね!!これで大丈夫だね!」「…うん。相変わらずドクターは慎重だけど。」「そっかぁ~。でも、きっとダイジョブだよ!」「…もう注射は嫌だよ(笑)。」受話器を置いた手が少し硬直していた。移植後の予後が…あまり芳しくない事実。それ自体が一か八かの賭けであると…以前、聞かされた事があるから。
けれど「ドクターがプレゼントをくれたよ。十分、エネルギーを入れて来いって(笑)。」移植前の数日間、外泊が許された彼は精一杯の時間を家族と、親友と…我々とに使ってくれた。そして「約束の」肉をたらふく食べさせる会(笑)を開いた。
「そんなに飲んでダイジョブ?」「平気、平気。」「お肉、食べ過ぎてない?」「ははは。大丈夫だって。」ハラハラする私達を尻目に豪快な笑顔を見せる。「二次会、行こう!」果てはみなを引き連れて、シャカシャカ歩き出す。「ホントに、お前さんは病人か?」思わずこちらも笑ってしまう。本人が誰よりも笑っていたが。
「頑張ってきます!」改札口で一人ずつと握手する。45年間…私は彼としっかり握手したことなどあっただろうか…ふいに溢れてしまう。「縁起悪いなぁ(笑)。いつもこれだから困るよ~。」相変わらずマスクの上の目は笑っていた。
手術は17日。元気に退院して、見てもらえるように…個展がんばるからね。一緒に頑張ろうね。
- 2011/11/06(日) 11:46:47|
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