今日は久しぶりの多摩川越え(笑)。恵比寿にある東京都写真美術館に行ってきた。
いくつか開催されている展示の中で、いの一番に目に入ったのが「東京ポートレート 鬼海弘雄写真展」。ポスターの中のモノクロ世界に初老の男が立っている。不自由なのか右目が半分塞がっている。不思議な迫力だ。
果たして、地下ギャラリーに一歩足を踏み入れたとたん「わっ!うるさいっ!」。決して室内がざわついていたわけではない。ズラリと並んだ市井の輩が口々に勝手なお喋りをしているようにコチラを見つめているのだ。
30年以上も浅草の街を歩き、道行く人に声をかけ、撮影する。擦りきれた皮ジャンの男。髪を派手に結い上げた女装家。黒い手を差し出すホームレス。薄笑いが張り付いた質屋…。100人の切り取られた日常が面白いように迫って来る。
レンズを構えているのは鬼海弘雄という山形出身の写真家。大学で哲学を専攻した後、山形県職員を途中退職、トラックの運転手やマグロ遠洋漁業船の乗務員など様々な職歴を隔た上で行き着いた写真の世界。写真はコピーでは無い、という彼の口癖を「その通り」に見せてくれる作品に、いっぺんで惚れてしまった(笑)。
興奮冷めやらぬまま、次の展示「畠山直哉展 ナチュラル・ストーリーズ」を観る。
迫力の写真に根強い彼のファンが何人も張り付いている。微動だにせず見入っている者も。たしかにどの作品も凄い。…が、やはり「人」の写りこまない写真は何だか寂しいと感じてしまう。それだけ実は「人」好きなのだろうか…(笑)。いずれにしても濃~い1日だった。
- 2011/10/01(土) 14:06:44|
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